たけぼうと娘の独立起業物語

私「ただいま~。はい、これお土産。」

妻「あら、またお客さんに頂いたの? ありがたいね。」

私はヘアーカット専門店で雇われて働いている時に、常連のお客さんに差し入れやお土産をよく貰っていました。

たけぼうと娘の独立起業物語

妻「ねえ、これだけお客さんに支持されているんだから、独立考えてみてもいいんじゃない?」

私「前にも言ったけど、それはしないよ。独立なんて何の保証も無いんだから。」

 

私は以前ブラックなヘアーサロンで、壮絶なパワハラに4年以上苦しんで来ました。

そして何とかそこを退職して、その時のヘアーカット専門店での仕事にありつけたんです。

流れ作業的な仕事、人の噂話や悪口が大好きな同僚など、ウンザリする事もありましたが、壮絶なパワハラに合った事のある私にとっては、かなりまともな職場でした。

自分でも独立起業を考えた事がありましたが、お店が軌道に乗らず家族に迷惑をかけるのだけは嫌だったんです。

神様が用意してくれたイス

その後、妻から何度も独立起業を勧められましたが、私の答えは同じでした。

しかし、何ヶ月かが過ぎた頃、私は1冊の本で転機を迎える事になります。

斎藤一人さんという生涯納税額日本一の大商人がいますが、その斎藤一人さんの関連書籍「斎藤一人の道は開ける」にこんな話がありました。

あなたが道を歩いていると、神様たちが集まって会議していました。そして末席に1つ空席があります。あなたならどうしますか?

正解は「とっとと座る」だよ。神様が用意してくれた場所というのがある。「ここで働きなさい。」って言われたらそこで働けばいいんだよ。

「私でいいんですか?」「まだ自信がないんです。」「それあまり好きじゃないんです。」とかごちゃごちゃ言い過ぎるんだよ。

人は誰にも「神様が用意してくれたイス」があるんだよ。その最たる物が仕事なんだよ。

「斎藤一人の道は開ける」より一部抜粋。

あまりに話の内容が自分の境遇と同じだったので、この時から私の考えは徐々に変わっていき、そしてついに独立起業を決意するようになったのです。

いざ独立起業!・・・しかし現実は甘くなかった。

私は家族や仲間の理解と協力があり、全ての預金を使い果たしましたが、ついに自分の店を持つ事が出来ました。

しかし・・・いざお店をオープンしてみると、厳しい現実が待ち構えていました。

当たり前の話ですが、お店を出したからといってすぐにお客さんが来てくれるわけがなかったのです。

 

「お客さんが今日も来ない!」

「家族の生活はこれからどうなる!?」

「やっぱり起業なんかするんじゃなかった!!」

 

来客0人を何度も経験し、私は恐怖と不安、そして後悔に押しつぶされそうになりました。

 

「でも、どうにかするしかない!」

「もう俺には後がないんだ!!」

 

何とか突破口がないか、必死で私は考え続けました。そして、そんな私を救ってくれたのは、当時小学校低学年だった娘の提案だったのです。

 

「パパ、私もチラシに何か描きたい!」

 

娘が店の集客用のチラシに、自分のイラストを描きたいと言ってきました。

 

「お店の大事なチラシだからダメだよ・・・。」

 

始めはそう断った私ですが

「・・・まてよ、娘に絵を描いてもらうのもいいかもしれないぞ。」

 

そう何かに閃いた私は、思い切って娘にチラシ作成を手伝ってもらう事にしたのです。

そして文章は手書きで、自分の想いをありのまま伝えようと思いました。

その手書きチラシは、娘のイラストが入る事によりかなり親近感とインパクトが生まれ、そして私の伝えたい事もしっかりと書けた気がしました。

後で妻から聞いたのですが、娘は私の事を心配し「何かお店のお手伝いがしたい!」と毎日のように言っていたそうです。

私は不安な気持ちや店の現状を顔や言葉には出さないでいましたが、子供ながらに娘は何かに気が付いていたのかもしれません。

娘のイラストと、父の怒涛の1万枚ポスティング

さっそく私は、娘の分の想いも込めて毎日毎日、何百枚とポスティングしました。

8月の猛暑の中、ひたすら自転車をこぎ続けたんです。

Tシャツには大量の汗が染み込み、家に帰る頃にはバックパックに付いた汗は「塩」に変わって、白くこびり付いていました。

そして最終的に、私は一人で合計10000枚近くのチラシを自転車でポスティングする事が出来ました。

今まで何一つ達成出来ずに、家族に心配ばかりかけてきた私の意地でもあったんです。

 

「やるだけの事は全力でやった。これで効果がなければもう何も出来ない・・・。」

そんな感情が私の脳裏に浮かびましたが、すぐに無理やり頭から消し去りました。そして、お客さんがたくさん来てくれると信じたのです。

 

 

しかし・・・

1日、2日、3日、と過ぎてもチラシのお客さんは1人も来ませんでした。

「本当にやるだけはやった。仕方ない・・・。」

「でもこれからどうしたら・・・」

 

 

 

・・・4日目の事でした。

何とチラシを持参して嬉しそうな笑顔で1人の男性がご来店してくれたのです!

「親しみのある、いいチラシですね。」

そのお客さんの笑顔を見たら、私は涙が出そうになりました。1人だけでも来てくれた!嬉しい!!

 

 

しかし・・・

 

 

 

その人だけではなかったのです!

毎日毎日チラシのお客さんがご来店してくださり、少なくても3人、多い日には何と10人以上。驚いたことに、50枚に1人というものすごい反応が出たのです。

通常は100枚に1人でもかなりいい数字らしいです。

チラシを捨てずにずっと保管してくださるお客さんも多数いらしたのは、本当に驚きであり感謝です。

「なんか、親しみがあって捨てられない。」

と本当に嬉しい言葉も頂きました。

チラシでたくさんのお客さんが来てれたことを娘に話すと、娘は飛び跳ねて喜んでくれました。私と娘は抱き合って大喜びしました。

妻もすぐそばで涙ぐんでいました。

 

この手書きチラシで多くのお客さんに支えられ、私の店は半年後には繁盛店になる事が出来ました。多くの人の協力で自分のやりたい事、理想を叶えられるお店を私は半年で作りあげる事に成功し、

「こんなお店を探してました!」

「電車で1時間かけて来ました!」

何度も嬉しい言葉を頂き、もっといいサービスをしよう!と私の心は踊りました。

神様が用意してくれたイスにはすぐに座る

私がもしもあの時のまま・・・

「独立なんて何の保証もないし」「家族に迷惑かけてしまうかも」

と思って雇われの仕事を続けていたら、今の私と家族はありません。

私達は人生の至る所で、神様から「この仕事をやってみろ」と声をかけられているのかもしれません。

それは私のように家族を通してだったり、あるいは職場の人だったり、映画や本の内容だったりするのでしょう。

または苦しい逆境を通して、神様はあなたに声をかけているのかもしれません。

でもそんな時こそが人生を変えるチャンスです。

自信が無くて不安でも「神様が用意してくれたイス」に座ってから、困難を乗り越えて成長していけばいいんです。

神様が用意してくれたイスに「よし、とりあえず座ってみるか!」と行動を起こした人を私は応援したいと思い、このブログを始めました。

個人は弱い存在です。

でもそんな個人がどこかで繋がって共に成長していけば、強い存在になれると私は信じています。

せっかくの人生ですから困難を乗り越えて、みんなで自由で自分らしい人生にしていければと強く願っています。

長文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!